右手には小槌。
左手には大きな袋を持つ神様といえば…
そうです!大黒様!
七福神の1柱であり、米俵に乗るそのふくよかな姿は、
縁起物として置物などにもなっていてなじみのあるものですよね。
今回は、そんなよく目にする大黒様についてご紹介したいと思います。
大黒様はどんな神様でそのご利益は?
『大黒様』と親しみを込めて呼ばれる神様は、
七福神の1柱である『大黒天』。
実は大黒天の元になるものは、複数あるってご存知でしたか?
そのうちのひとつは、
インド神話に登場する破壊神『シヴァ』の化身である
『マハーカーラ』といわれています。
『カーラ』は、黒を意味し、
マハーカーラの体の色は黒く描かれていることから、
大黒天という名前についても、
こういうことが理由にあると考えられています。
また、このマハーカーラは日本で知られている温和な翁風ではなく、
時代や地域によって異なりますが、
破壊神の名にふさわしく、
三面六臂のまさに魔人といった姿で描かれているものもあります。
日本には、密教の伝来とともに、
天部といわれる仏教の守護神として、
軍神・戦闘神・富貴福禄の神とされていましたが、
中国で富貴福禄について強調されたものが伝わったといわれています。
一方で、
大黒の『だいこく』の読みが、
日本神話にある『大国主』と混同されたことから、
破壊神の化身といった面は薄れ、
ここに来て神仏習合により現在の富貴福禄の面が残ったとされています。
大国主といえば、
出雲大社に祀られ五穀豊穣・良縁の神様として知られていますね。
因幡の白兎の話に出てくる神様はこの大国主だったりします。
というわけで、
現在では元となった大国主の兼ね合いから、
大黒天のご利益として五穀豊穣や、
意外なところで良縁といったものがあるようです。
大黒様がお祀りされている神社はどこ?
島根県にある出雲大社のご祭神は、大国主です。
つまりは大黒様ということですね。
日本神話でてくるほどの歴史に加えて、
良縁のご利益があることで大変よく知られています。
八百万の神が神無月に集まって会議する場所も、
この出雲大社といわれていますね。
奈良県の春日大社では、
夫婦大國社というところで祭られています。
夫婦での大黒様を祀っているのは日本でここだけなんだとか。
というわけでご祭神は、
大国主と須勢理姫の2柱で、ご利益は夫婦円満や家内安全など。
なかでも水占いは有名で、
神社の前にある水がめに、鹿の絵が描かれた紙を浮かべると、
願望・恋愛・学問などといったことについて、
占われたことがらが浮かび上がってくるそうです。
東京都の神田神社にも祀られています。
こちらは神田明神といったほうがなじみが深いかもしれませんが、
3柱ある祭神の一つとして、一ノ宮で縁結びの神様として祀られています。
ちなみに石造りでは日本で一番大きい大黒様の像があるのだとか。
大黒様はねずみが神の使いなのは何故?
こちらも理由となるものがいくつか伝えられています。
そのうちの一つは、マハーカ-ラによるものです。
このマハーカーラのイメージであった黒は、
陰陽五行でいうところの北を意味しており、北方の神とされていました。
これを十二支に当てはめると、
『子(ね)』つまりはねずみとなり大黒天の使いになったといわれています。
そしてもう一つは、大国主にまつわるもの。
古事記には、
大国主命がネズミたちによって命を救われる話が登場します。
大国主は須佐之男命(スサノオノミコト)の娘である、
須勢理毘売命(スセリヒメ)に見初められて恋に落ちるのですが、
二人の仲を許すのに、
父である須佐之男命は大国主にいくつかの課題を与えます。
その中で、草原にある矢を回収するようにと依頼されます。
ところが、大国主が足を踏み入れた途端、
周辺が焼け野原に…
大国主がどうしたものかと戸惑っていたところに現れたねずみが、
火の手を避けれる穴の存在を促してなんとか難を逃れることに。
しかも目的の矢も、
そのねずみが持ってきてくれるというおまけ付き。
このようなことから、
ねずみが大国主=大黒様にとって使いとなったといわれています。
あとがき
いかがだったでしょうか?
身近によく見聞きする神様が、
さまざまルーツを持つ中で、
当初とは別な形として現代に至っていることを考えると興味深いですね。