聖護院大根と聖護院蕪(かぶら)は、
どちらも大きくて丸い根菜で、
聖護院という名前がついている通り京野菜の一つです。
どちらもとても美味しい冬が旬の野菜です。
聖護院蕪と聖護院大根の違いにつて、
それぞれの特徴と見分け方や食べ方を紹介したいと思います。
聖護院蕪と聖護院大根の違いは?
聖護院(しょうごいん)は、
京都の有名な修験道のお寺の名前ですので
聞いたことがある方も多いと思います。
京野菜には、
他にもお寺の名前がついた万願寺とうがらしや、
京人参、賀茂茄子、九条ネギ、京水菜、壬生菜などがあります。
■聖護院蕪
聖護院蕪は、
おもに関西地方で栽培されている大型の丸蕪です。
直径は15~20cm程度、
重さは1.5~3kgほどになり、
やや扁平のふっくらとした丸形です。
皮はきれいな白色で、肉質は緻密できめ細かく、
やわらかくてほのかに甘味があります。
聖護院かぶらは漬け物に適していて、
京都では千枚漬けの材料として有名です。
もちろん漬け物だけでなく、
煮崩れしにくいので煮物や、
すりおろしてかぶら蒸しなどにも利用できます。
ちなみに聖護院蕪は、京都が原産ですが、
隣の滋賀県で作られていた
「近江かぶ」が起源といわれています。
江戸時代から栽培が行われていて、
伝統野菜として今日に受け継がれています。
■聖護院大根
京野菜として有名な
「聖護院大根(しょうごいんだいこん)」は、
京都を中心におもに関西地方で栽培されている
丸形の大根です。
直径が18cm前後、重さが1~2kgほどになり、
大きくてふっくらと丸い形をしています。
やわらかくてきめ細かく、煮崩れしにくいのが特徴。
甘味があり、
煮物にするとなめらかな口当たりになります。
聖護院大根はもともと長大根が由来といわれています。
江戸時代に左京区聖護院地区において、
短くて太いものを選抜していくうちに丸くなっていき、
丸大根として定着したそうです。
聖護院蕪と聖護院大根の違いは、
「聖護院蕪」はカブの一品種、
「聖護院大根」はダイコンの一品種で、
植物的には、全く違う物というところです。
聖護院蕪と聖護院大根 それぞれの特徴と見分け方は?
似て非なる物といっていい、
聖護院蕪と聖護院大根。
その、見分け方を見ていきたいと思います。
見分け方 その1
■葉の形が違う
見分けるポイントはいくつかありますが、
一番わかりやすいのは葉の形です。
聖護院大根の葉はギザギザに切れ込みが入っていて、
葉の付け根の方は茎に鋸状に小さく、
三角形に近い形の葉がつき、
先の方に行くにつれて葉が大きくなっています。
聖護院かぶらは、
葉に切れ込みはなく葉先に向けてまあるく
1枚葉がついています。
通常の長い大根や蕪の葉と同じですので、
葉の形で見分けることができます。
見分け方 その2
■株元の色が違う
聖護院大根と聖護院蕪は、
どちらも根が肥大して丸くなり、
形の上では見分けがつきにくいのですが、
肥大した根の首のところ、株元の色が違います。
聖護院大根は、首のところ、
土の上に少しだけ顔を出した部分は、
青首大根のようにうっすらと緑色になります。
聖護院蕪のほうは、
通常サイズの蕪と同様に真っ白なままです。
売っている普通サイズのかぶも、
首のところは緑色になっていないので、
それを参考にしていただくとよいと思います。
これで葉の形と首のところの色を見れば、
聖護院大根と聖護院蕪の違いを
見分けることができると思います。
見分け方 その3
■聖護院大根の料理の使い方
聖護院大根は、
火を通しても煮崩れしないので、
煮物やおでんに使われます。
煮込むのに時間がかかる豚バラ大根やぶり大根、
おでんを聖護院大根で作ると、
普通の大根よりもしっかりした食感で、
でも柔らかく煮えるのでとても美味しい煮物になります。
煮崩れしにくいので、
うんと大きめに切って、
じっくり味を染み込ませるのがおすすめです。
また、煮物だけでなく、
漬物にして利用することもできます。
見分け方 4
■聖護院蕪の料理の使い方
京都の漬物でとても有名な千枚漬け。
これは、聖護院蕪で作るのが本来の千枚漬けです。
京漬物の土産店などで売られている千枚漬けは、
聖護院蕪が使われていますので、
これは、
聖護院大根と聖護院蕪を間違えることはないと思います。
聖護院大根を聖護院蕪の代用にして千枚漬けを作っても、
千枚漬け特有のつるっとした食感にはなりにくいです。
昆布のとろみで、
つるっとした滑らかな食感を楽しむのであれば、
やはり聖護院蕪じゃないと、
『千枚漬け』という感じにはなりません。
聖護院蕪は火を通しても美味しいので、
美味しい出汁を煮含ませた煮物にしたり、
洋風のクリーム煮などにしても美味しいです。
味は聖護院蕪のほうが聖護院大根よりも優しいので、
豚バラやぶりと合わせるのは、
聖護院大根の方が向いています。
聖護院蕪は油揚げや厚揚げなどと、
薄味で上品な味つけの煮物に仕上げるのがおすすめです。
見分け方 その5
■栽培、育て方の違い
聖護院大根も聖護院蕪も育て方は、ほぼ一緒です。
ただし育てている過程では、
それは聖護院大根の方が
育てやすい、と言われています。
秋の種まきの場合、
基本的に病害虫はほとんど関係ないのですが、
それでも聖護院蕪は、
葉が大根より薄くて柔らかいためか、
畑で育てると虫に狙われやすく、
葉に穴が開くことが多いのです。
プランターで綺麗な用土を使って育てれば、
そのリスクは減らせると思いますが、
聖護院大根も聖護院蕪も大きくなるため、
かなり大きなプランターや鉢が必要です。
聖護院蕪と聖護院大根 それぞれの食べ方は?
■聖護院蕪の食べ方
聖護院蕪は、
特に寒さによりおいしさが一段とさえてきます。
白くて甘味があり、
食物繊維が少なくなめらかで、やわらかいのが特徴です。
栄養成分は根と葉で違い、
根の部分は、
ビタミンCや分解酵素アミラーゼ(ジアスターゼ)を多く含み、
ジアスターゼは、胸やけの不快感をとったり、
食べ過ぎの時の消化吸収を助けるなど、
整腸効果があります。
葉は緑黄色野菜で、
カロテン・ビタミンC・鉄・カルシウム・カリウム
食物繊維などが含まれています。
根よりも葉のほうがビタミン、ミネラルが豊富なので、
ぜひ捨てる事無く、
炒め物やお浸し、細かく刻んで菜飯などに活用し、
寒い冬を乗り切りましょう。
また、根に含まれる栄養素は変性し易いため、
サラダや漬物、さっと加熱して食べることがお勧めです。
■聖護院蕪を使ったレシピ
★聖護院蕪と柿の柚子なます
材 料(2人分)
聖護院蕪 50g
柿 1/2個
米酢大さじ 1杯
塩小さじ 1杯
柚子 1/4個
①聖護院蕪の皮を剥き、薄切りにした後、
さらにマッチ棒程度の細切りにします。
柿も皮を剥き、同様の細さに切り分けます。
ボウルに入れ、塩を加え、5分置いておきます。
②出てきた水気を絞ったら、
そこに酢と柚子の搾り汁を加えます。
しっかり混ぜ合わせたらタッパー等に入れ、
冷蔵庫で1時間以上冷やします。
③柚子皮を細切りにしておきます。
なますを器に盛りつけ、
柚子皮をあしらって完成。
★聖護院蕪とレタスとベーコンのスープ煮
材 料(2、3人分)
レタス 2分の1個
聖護院蕪 1個
玉葱 2分の1個
ベーコン 2枚
にんにく 1片
オリーブオイル大さじ 1、5
*ウェイパー小さじ2
*酒大さじ3
ブラックペッパー少々
①レタスは適当に手でちぎり、
蕪は1センチくらいの厚さのいちょう切りにし
玉葱はくし形に切り、
ベーコンは2センチくらいの短冊に切っておく。
②鍋にオリーブオイルとみじん切りにしたにんにくを入れ、
ゆっくり火を入れる。
③香りがたってきたら、中弱火にし、
玉葱を入れ炒め、柔らかくなってきたら、
さらにベーコンを入れ、そこに蕪を入れ炒める。
④油が回ったら、レタスと*を入れ蓋をし、蒸し煮する。
最後、ブラックペッパーで調味する。
■聖護院大根の食べ方
大きく丸い聖護院だいこんは、
かぶのような形をしていますが、
元は長大根。
180年位前に、尾張の国から奉納された大根を、
京都の篤農家が聖護院辺りで栽培するうちに、
丸い大根になりました。
苦みがなく、ほんのり甘味がある聖護院だいこんは、
長時間炊いても煮崩れせず、
とろけるような味わいになるのが特徴です。
かぶのような見た目ですが、
同様に食べるには身が固く甘みも少ないので、
長時間炊くなどの料理に向いているでしょう。
■聖護院大根を使ったレシピ
★聖護院大根の千枚漬け
材料
聖護院大根(皮を除いて) 1000g
細切り昆布 ひとつかみ程度
赤唐辛子(小口切り) 1〜2本分
砂糖 100g
塩 25g
酢 75ml
①聖護院大根は皮をむいて重さを計る。
スライサーか包丁で横方向の薄切りにする。
大きい場合は縦半分に切ってからスライスする。
②容器にスライスしたものを1/3程度入れ、
細切り昆布と赤唐辛子の1/3量を散らす。
③同様にサンドイッチ状に重ねていく。
④全て重ね入れたら、
上から、砂糖、塩、酢を加え(混ぜる必要なし)、
蓋をして冷所に置く。
⑤すぐに水が上がってくるので、
時々少し揺すって全体が液に浸かるようにする。
一晩経てば美味しく食べられる。
★厚揚げと聖護院大根のたいたん
材料 (4人分)
聖護院だいこん 1/2個
油揚げ 1枚
九条ねぎ 2本
七味唐辛子 少量
だし汁 400ml
砂糖 30ml
みりん 10ml
薄口しょうゆ 40ml
塩 少量
①聖護院だいこんは厚めに皮をむき、
食べやすい大きさに切って、
裏に隠し包丁を軽く十字に入れる。
②油揚げを8等分に切り分ける。
③鍋にだし汁を入れて1のだいこんを入れ、
中火で火にかける。
④だいこんがやわらかくなったら、
油揚げと砂糖、みりん、薄口しょうゆ、塩を入れて
味をゆっくり含ませる。
⑤九条ねぎは3cmの長さに切り、
④に入れてさっと煮て取り出しておく。
⑥器にだいこん、油揚げを盛って、
ねぎをのせ、七味唐辛子をふる。
あとがき
今回は、
京都を代表する伝統的な野菜
「聖護院大根」と「聖護院蕪」の違い、
おすすめのレシピを、お伝えしました。
栄養価もたっぷりで、
おいしく調理できるのが魅力です。
スーパーで見かけたとき、
また京都を訪れた際は、
ぜひ食べてみてくださいね。