巻きずしや、細まきでおなじみの「かんぴょう」
その歴史は、300年に及ぶといわれています。
乾燥したかんぴょうは見た事はあるけど、
いったい何からできているのか
知らないという方も多いと思います。
今回は、かんぴょうについて詳しくまとめてみました。
かんぴょうの原料となる植物は何?
かんぴょうは
ウリ科ユウガオ属のユウガオの実を
帯状に薄く剥いたものです。
ユウガオの実は、
6月から8月ごろに収穫の最盛期を迎えます。
■かんぴょうの名前の由来
かんぴょうは漢字で
「干瓢」もしくは「乾瓢」と書きます。
「瓢」の字は「ひさご」や「ふくべ」とも読まれ、
ひょうたんやユウガオなどの総称です。
これを干す(乾かす)ところから、
「干瓢(乾瓢)」となりました。
■かんぴょうの原料「ゆうがお」とは
かんぴょうの原産は北アフリカで、
日本へは朝鮮から渡来してきたとされています。
一年生のつる植物で、
つるの長さは20mほどになる事もあります。
地面の上を横に広がりながら成長する植物で、
水はけのよい軽い土を好みます。
ユウガオは夏の夜に白い花をつけるのですが、
一夜で枯れてしまいます。
そのために「夕顔」と呼ばれるようになりました。
夕方からしか花の咲かないユウガオですが、
実の生産性をあげるため、
虫による自然交配だけでなく、人工授粉も行われています。
観賞用のひょうたんの苦み成分が少ないものが、
食用として選別されたものがユウガオで、
収穫される実は直径30cm、
重さ20kg以上になるものもあります。
鮮度の見分け方としては、
皮にハリがあり傷がないもの、
実がよくしまっているもの、
皮色が黄緑色でツヤがあり、
白すぎないことがあげられます。
6kgから7kgのものが一般的に収穫適期で、
1日ずれただけでも
ひとまわり大きくなるほど生育が旺盛です。
この、ゆうがおは、
鮮度の低下がはやく、
長期的に保存できる種類ではありません。
■かんぴょうの種類
かんぴょうには無漂白のものと漂白したものがあります。
無漂白のものは飴色をしており、
漂白したものよりもはやく柔らかくなるといわれます。
戻し汁をそのまま料理に使うこともできます。
一方、
漂白したものは、
防かびや防虫、見た目を良くして変色を予防するために、
二酸化硫黄で燻蒸されます。
二酸化硫黄には毒性がありますが、
調理の下ごしらえの際の処理で落ちてしまうので
利用に問題はありません。
■かんぴょうの調理方法
かんぴょうは水で適当に戻しても味が入り込みにくいため、
表面の汚れを落とすためにまず水洗いし、
少し塩をまぶして弾力が出るまで揉みます。
この塩もみは、
漂白されたかんぴょうの二酸化硫黄を
洗い流す工程ともいわれています。
無漂白のかんぴょうは
塩を入れずにもみ洗いするだけにします。
その後はたっぷりの湯で茹でて、
爪で切れるくらいの固さになったら取り出して冷まします。
ここまでで下ごしらえが完了し、
このかんぴょうを煮物やその他の料理に使用します。
下ごしらえの済んだかんぴょうの主な用途としては、
お寿司の具材や昆布巻きを結ぶ時の紐としての使用です。
かんぴょう自体にあまり味がないため、
煮物やサラダなどにも利用されています。
漂白された、かんぴょうと、
されていない、かんぴょうの味の違いを
楽しんでみるのも良いかもしれませんね。
かんぴょうの生産量が多い産地は?
かんぴょうの国内生産の90%が栃木県産です。
大阪ではじまったかんぴょうの栽培が
栃木県壬生町に伝わったのは、江戸時代のことです。
1712年、
江州(滋賀県)の水口城主、鳥居伊賀守忠照公が、
壬生城主になったときにはじまりました。
壬生領の耕地が広いのにもかかわらず、
産物が少なく貧農の多いのを憂い、
江州からかんぴょうの種子を取り寄せました。
明治以降は隣接市町村にも広まり、
栽培技術の向上とともに生産量が増加し、
大阪方面に大量に出荷されるようになりました。
当時、日本での発祥の地、木津にちなんで、
かんぴょうのことを木津とよんでいました。
今のように通信の発達していなかった時代には、
産地への注文は、
「キヅオクレ」(木津送れの意)
と打った電報が届いたそうです 。
かんぴょうの作り方は?
かんぴょうを作る作業は、
気温の低く、日が昇る前の早朝に行うのが一般的です。
足踏みレバーの付いた電動の器具を使って作ります。
ゆうがおの実を縦の軸に刺し、
モーターで回転させながら
横から皮むき器を当てて固い外皮を取り除いていきます。
そして、ブレの出ないように柄を半固定し、
カンナのような刃物を当てて、
かつら剥きのように帯状に長く剥きます。
その後、
竹竿にかけて室内で乾燥させてから包装して出荷されます。
■かんぴょうの栄養
かんぴょうには、
カリウムやカルシウム、リンや鉄分が多く含まれます。
茹でたもの100gあたりに含まれる食物繊維は
5.3g含まれていますので、
お腹の調子などを整えるのに最適な食品といえます。
■かんぴょうの食べ方
・かんぴょうを生で食べる
かんぴょうを干して戻したものだけでなく、
生かんぴょうは煮物や炒め物で食べられます。
どんな味付けにもできるので、
お酢と絡めたり、
照り焼き風の甘辛味にしてもおいしくいただけます。
・かんぴょうを煮物にして食べる
定番の太巻きや細巻きで使う以外に、
細かく刻んでご飯に混ぜたり、
和え物や野菜と合わせてサラダにしてたべます。
栃木では卵とじにして食べることあります。
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■かんぴょうの定番 甘辛煮
太巻きや、細まきに使える、
かんぴょうの甘辛煮を作ってみましょう。
★かんぴょうの甘辛煮
材料(作りやすい量(太巻き8~10本分))
かんぴょう(乾物) 40g
塩 小さじ1
A 水大さじ6
A 砂糖大さじ3
A しょう油大さじ3
A みりん大さじ3
A 酒大さじ1
A 塩1つまみ
作り方
①かんぴょうは水でさっと洗い、塩をふってもむ。
塩を洗い流し18㎝程度に切る。
②たっぷりの湯で10分程度茹で、ザルにあげる。
③A水 大さじ6、砂糖 大さじ3、
しょう油 大さじ3、みりん 大さじ3、酒 大さじ
塩 1つまみを煮立て1を加え、
たまに全体を混ぜるようにして、
汁気がなくなるまで煮る。
工程1で18㎝に切るのは、
太巻きにする際に使いやすい長さです。
お好みの長さに切って下さい。
冷凍できるので1度に1袋調理してしまうのがお勧めです。
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あとがき
江戸時代には高貴な方々に珍重されたという、
由緒正しき乾物、かんぴょう。
現代も、お寿司のかんぴょう巻きや太巻き、
煮物や炊き込みご飯など、
いろんな姿に形を変えて活躍していますね。
カルシウム・カリウム・リン・鉄分・食物繊維
などが多く含まれるヘルシー食材として、
便秘がちな方や妊産婦、お年寄りにもおすすめの食材です。