夏の風物詩と言われる「じゅんさい」は、
淡白な味とツルンとした舌触りが珍重されています。
昔から沼に自生していましたが、
今では転作水田を利用した沼で収穫されることが多くなりました。
じゅんさいについて、詳しくお話したいと思います。
じゅんさいとはどんな食材?
「じゅんさい」とはスイレン科の植物で、
根が水中を横に這い、水面に葉を浮かべる水草のことです。
沼に縄のように細長く生えていることから、
かつては「沼縄(ぬなわ)」とも呼ばれていました。
中国では、古くから薬膳料理の食材として重宝され、
日本でも「万葉集」に記述が残っているほど歴史のある食材です。
じゅんさいは、水面に浮かぶ葉っぱが食用になるのではなく、
水中にある新芽のみを摘み採って食材にします。
最大の特徴は、葉を包み込んだゼリー状の「ぬめり」。
外敵の食害や病原菌などから守る役割があり、
太陽の光にぬめりを持った緑の葉がキラキラ輝く様子から
「食べるエメラルド」とも呼ばれています。
じゅんさいの旬の時期はいつ?
じゅんさいの収穫時期は、
4月下旬から9月上旬で最盛期は6月頃です。
■じゅんさいの生産地
かつて日本各地で生育していたじゅんさいですが、
47都道府県のうち、
今や4県で絶滅、21県で絶滅または準絶滅危惧種となりました。
そんな中、
日本一のじゅんさいの栽培地として知られているのが、
秋田県山本郡三種町です。
日本のじゅんさいの9割が、
三種町で生産されていると言われています。
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じゅんさいは、きれいな水でしか育たず、
生活排水や農薬・除草剤などが生息沼に流れ込むと、
じゅんさいは枯れてしまいます。
秋田県北部に位置する三種町は、
世界自然遺産の白神山地と出羽丘陵に囲まれており、
山々からの清らかな伏流水が豊富です。
こうした環境が、じゅんさい生産日本一を支えているのです。
■じゅんさいの効能
じゅんさいを食べることで、
食物繊維をたっぷり摂ることができます。
食物繊維は、
現代人が健康的な生活を送る上で欠かせない「腸の掃除役」。
体内で、糖の吸収を遅らせることや、
LDLコレステロールの吸収量を抑える効能がある栄養ですので、
糖尿病や高脂血症などの生活習慣病の予防や改善が期待されています。
★細胞のアンチエイジング効果
じゅんさいには、
緑茶に匹敵するほどのポリフェノールが含まれています。
ポリフェノールは、
強い抗酸化作用があることで、
最近はサプリメントなどでも人気の栄養です。
主な効能は、
細胞のアンチエイジングやガンの予防効果、
目の働きを高める効果、
更年期障害を予防する作用などがあります。
★健康な骨と歯の発育に効能
じゅんさいには、カルシウムも含まれています。
カルシウムは、
骨や歯が丈夫で健康に発育するために欠かせない栄養です。
成長期の子どもだけでなく、
女性や高齢の人がかかりやすい骨粗鬆症の防止にも効果があります。
★だるさやむくみにも効果あり
じゅんさいには、カリウムという栄養も含まれています。
カリウムは、
体内の余分な水分を排出することで、
むくみや、むくみによる体のだるさを解消する効能を持つ栄養です。
味の濃い食事を好み、塩分過多な食生活になりがちな人は、
じゅんさいなどでカリウム多く摂るように意識しましょう。
★生のじゅんさい
中国医学では、
古くからじゅんさいの薬効が認められています。
抗ガン作用や解熱、解毒、胃弱を治す、
腫れを消すなどの効果があると言われています。
じゅんさいは、天然の健康食品と言われています。
じゅんさいの食べ方のレシピは?
じゅんさいの美味しい食べ方のレシピを紹介します。
■じゅんさいの酢の物
材料(2~3人分)
じゅんさい 適量
おろし生姜 少々
Aだし汁 大さじ2
A酢 大さじ1
A薄口醤油 小さじ1
Aみりん 小さじ1
作り方
生のじゅんさいはさっと洗ったあとに、
たっぷりの熱湯で10秒ほど茹でます。
じゅんさいの色が変わったらすぐに氷水にとって冷やします。
ゆですぎると風味とぬめりが取れてしまうので、注意が必要です。
②Aの調味料をボウルなどに合わせ、
酢の物の地を作って冷蔵庫で冷やしておきます。
冷たいじゅんさいを器に盛り付け、
Aをかけ、仕上げにおろし生姜をのせて完成です。
■じゅんさいのみそ汁
材料(4人分)
じゅんさい 100g
A水 600ml
Aだしの素 小さじ山盛り1
みそ 大さじ2
みつばの葉 少々
作り方
①じゅんさいはザルにあけ、サッと洗う。
②鍋にAを入れて火にかけ、沸騰したらみそを溶き入れる。
(1)のじゅんさいを加え、ひと煮立ちさせる。
③器に盛り、みつばを散らす。
■じゅんさいとささみ肉のポン酢がけ
材料 (4人分)
とり肉(ささみ) 100g
じゅんさい 100g入 1袋
塩(とり肉下味用) ひとつまみ
日本酒(とり肉下味用) 大さじ1
かたくり片栗粉 適量
おろし生姜 好きなだけ
ポン酢 少々
作り方
①とり肉(ささみ)は一口大にそぎ切りにし、
塩・酒をかけて20分くらいおき下味をつける。
②ジュンサイは水洗いをしてからザルに入れ熱湯をかけ、すぐに氷水に取る。
③①の汁気を軽く拭き取り片栗粉をまぶして、
沸騰したお湯に入れて茹で、火が通ったら、氷水に取り冷ます。
④水気を切った②と③を混ぜて器に盛付け、
おろし生姜を上に乗せる。
ポン酢醤油をかけて頂く。
■じゅんさいのひんやり茶碗蒸し
材料 3人分(200cc入り3個分 )
卵 L2個
Aヤマサ昆布白だし 50cc
A水 150cc
Bじゅんさい(ざるにとった物+水) 100cc
B白だし 小さじ2
作り方
①卵をボウルに割りほぐし、
Aヤマサ昆布白だし 50cc、水 150ccを混ぜる。
万能濾し器で濾し、
器に静かに注ぎ入れ、アルミホイルをかぶせる。
②鍋に3センチの深さの水を入れ、1を並べて入れる。
③蓋を閉めて強火にかけ、湯気が立ったら、弱火で10~15分蒸す。
途中様子を見て取り出して器をゆすって弾力が感じられたら完成。
あとがき
初夏の味覚「じゅんさい」、
いかがでしたか?
不思議な見た目とは裏腹に、
体にも良い万能食材。
ネット購入もできます、
初夏の秋田の味を試してみては如何でしょうか。