江戸っ子と言えば、粋でイナセが売り物ですが、
その活きのよさを現す時の、
ちゃきちゃきの江戸っ子という言葉を聞いた事があります。
どういう意味なのかは
よく分かっていないんですよね。
ちゃきちゃきは、シャキッとしたという感じを、
音に現した言葉なのででしょうか?
実は、ちゃきちゃきの江戸っ子と言う言葉には、
江戸に住む人々の、
意地のようなものを感じることが出来ます。
そんなちゃきちゃきの江戸っ子の、
ちゃきちゃきについて調べてみました。
ちゃきちゃきの江戸っ子のチャキチャキとは?
「チャキチャキの江戸っ子!」と言いますが、
この“チャキチャキ”
擬音語ではありません、
「正統な子孫」という意味です。
つまり、
「江戸にずっと住んでいる家系=生まれながらの江戸っ子」
ということです。
意外にきちんとした意味があるのです。
正当な子孫の他に、
生粋のとも言います。
ちゃきちゃきの江戸っ子は、
生粋の江戸っ子と言い換えられる事もあります。
ちゃきちゃきの江戸っ子のチャキチャキの意味は?
まず、江戸っ子について調べてみました。
・「江戸っ子」とは
初めて「江戸っ子」という言葉が登場したのは、
明和8年(1771年)の、
万句合(まんくあわせ)の雑句の一句、
「江戸ッ子のわらんじはくらんがしさ」
であると言われています。
同時期に出た洒落本では、
「東都子」と書いて、
「えどっこ」と読ませているものもありました。
このことから「江戸っ子」という言葉は、
当時の都・京都に対する江戸の人々の、
「俺たちの町だって京都と十分に渡り合える!江戸は東の都なんだ」
という対抗心から生まれたものではないか、
と言われています。
当時は、
次の特徴を持つ人のことを「江戸っ子」と呼んでいました。
・「江戸っ子気質(かたぎ)」とは
江戸っ子の性格を表す言葉、
「江戸っ子気質」を調べてみました。
・金離れが良い
・細かいことにはこだわらない
・意地っ張り・喧嘩っ早い
・駄洒落ばかり言う
・議論が苦手
・人情家で涙もろい
・正義漢
これらが江戸っ子の定義のようです。
当時の「江戸っ子気質」とは、
現代で言う「職人気質」に近いのかもしれません。
江戸っ子に関する川柳・ことわざも色々あるようですね。
★「江戸っ子は五月の鯉の吹き流し」
下の句に「口先ばかりではらわたはなし」と続きます。
5月、大空に泳ぐ鯉のぼりや吹流しは、
お腹の中が空っぽですよね。
「江戸っ子はキツイ口調でモノを言うけれど、
お腹の中に何かを残したり悪巧みをすることはないよ」という、
江戸っ子気質を鯉のぼりになぞらえて表現した言葉です。
転じて、
「江戸っ子は口先だけで意気地なし」
という意味で使われることもあります。
★「江戸っ子は宵越しの銭は持たぬ」
当時の江戸の職人は、
その日に稼いだお金はその日のうちに全額使ってしまい、
「貯金なんてかっこ悪い」と考えていました。
あまりクヨクヨ悩むことなく、
お金に綺麗であることを自慢に思っていたのでしょう。
しかし、
これにはもう一つの理由があります。
当時の江戸は、
「火事と喧嘩は江戸の花」と言われるほど、
火事の多い街でした。
現代の様な立派な銀行など無い時代ですから、
コツコツと貯金をしていても、
火事などで一夜のうちに全てを失ってしまう、
リスクが高かったのです。
そのため、
「お金はその日のうちに使う」
という習慣が身についたとも言われています。
★「江戸っ子の生まれ損ない金を貯め」
「江戸っ子は貯金をしない」とは言えど、
全江戸っ子がそうであったというわけではありません。
当時の江戸にも貯金をして、
将来設計を立てて生活している人はたくさんいました。
典型的な江戸っ子は、そんな彼らのことを、
「江戸っ子のくせに貯金なんかしやがって。
そんなのは良くない。
あいつらは江戸っ子の生まれ損ないだ」
と揶揄したのです。
しかし、そこは素直になれない江戸っ子。
単純に貯金のある彼らが羨ましくて、
ちょっと強がりを言ってみただけなんだと思います。
★代表的な江戸弁「てやんでい」「べらぼうめぇ」の意味
ちゃきちゃきの江戸っ子たちが使っていた言葉、
「江戸弁」。
中でも「てやんでい」「べらぼうめぇ」は、
何かとよく耳にしますよね。
「てやんでい」とは、
「何を言ってやがるんだ」が変化した言葉です。
「べらぼうめぇ」は、
「馬鹿野郎!」という意味です。
ちなみに「あたぼうよ」は、
「当たり前だ べらぼうめ」が省略された言葉です。
江戸弁は、
「べらんめえ口調」と呼ばれることもありますが、
この「べらんめえ」は、
「べらぼうめ」が転じたものであると言われています。
江戸っ子の事が少し分かったので、
本題の「ちゃきちゃき」の意味ですが
「ちゃきちゃき」は、
「ちゃくちゃく」が訛ったものです。
漢字でかくと「嫡嫡」となります。
嫡は嫡子という言葉もあるように、
血筋が正しいという意味です。
それを二つ続けて、
正統で生粋の江戸っ子という意味になっています。
ちゃきちゃきの江戸っ子のチャキチャキの語源は?
「チャキチャキ」は、
「きっすいの江戸っ子」という意味で、
「チャキチャキの江戸っ子」などの使われ方がされます。
この「チャキチャキ」は、
「嫡々(ちゃくちゃく)」が変化した言葉とされ、
「血筋にまじりけがなく純粋なこと」
「生粋(きっすい)」などの意味があります。
「嫡(ちゃく、てき)」は、
「正統に受け継ぐ」という意味の言葉で、
正嫡(せいちゃく、せいてき:正妻、正妻が生んだ子)、
嫡子(ちゃくし:家の跡継ぎをする子)、
嫡男(ちゃくなん:正妻が生んだ最初の男子)
などの言葉で用いられます。
この「嫡(ちゃく)」が、
「ちゃき」になったというのが有力な説です。
あとがき
現代の江戸、
東京はとても流動的な土地です。
全国から大量の人間が集まってくる上に、
バブル以降は、
代々続いていた下町の家を離れた人も多くいました。
そのため、
真の江戸っ子は消滅の危機に瀕しています。
江戸弁を喋る江戸気質な江戸っ子も、
今ではかなり少なくなっていると言われています。
現代では、「江戸っ子」を、
地区ごとにさらに細分化した、
「神田っ子」「深川っ子」などの名称が、
好んで使われる傾向にあります。