匙を投げるということわざの意味は?語源の由来や使い方の例文は?

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匙を投げるということわざの意味ですが、
「匙」という字は「さじ」と読みます。

これを知ったのは以前、
ある方が銀の匙というハンドルネームを使っておられて、
読み方を覚えました。

この「匙」は、
液体・粉末などをすくい取る道具の事で、
スプーンの形状をした物の事です。

「匙を投げる」ということわざについて紹介したいと思います。

匙を投げるということわざの意味は?

■「匙を投げる」の意味とは?

「匙を投げる」という慣用句は、
2つの意味を持っています。

ひとつ目の「匙をなげる」の意味は、
医者が病気の治療を続けても、
治る見込みがないとあきらめて手を引くことです。

そういえば、テレビで見た時代劇で、
将軍様にお仕えするお医者さんの事を、
『おさじ』と呼んでいました。

もうひとつは、
努力を続けてもうまくいく見込みがなく、
あきらめるという意味を持っています。

匙を投げるということわざの語源の由来は?

「匙を投げる」の語源は、
江戸時代に医者が薬を調合するために持っていた
「薬匙」に由来しています。

現在は、薬局で薬剤師が薬を調合しますが、
昔は医者自身が薬の調合も行っていました。

また現在では、
「手術」をすることは珍しいことではありませんが、
江戸時代には手術をすることはほとんどなく、
薬の力で病気を治していたのです。

医者が病気にあう薬を調合ができず、
薬匙を放り投げてしまったことを比喩して
「匙を投げる」の言葉が生まれました。

そのあと、
物事がうまくいかないことをあきらめるときにも、
「匙を投げる」の言葉を使うように意味が広がっていき、
現在は2つの意味で使われる言葉となっています。

「匙を投げる」の「匙」は薬匙の事だったんですね。

「匙を投げる」の類語をみていきましょう。

・「匙を投げる」の類語「お手上げ」

「お手上げ」は、
これ以上どうすることもできないという気持ちを表す言葉です。

医者が匙を投げるときは、
これ以上治療の施しようがない
「お手上げ」の状態であると言えます。

・「匙を投げる」の類義語「万策尽きる」

「万策尽きる」とは、
あらゆる方法をやってみたが物事がうまくいかず、
これ以上他の方法も思いつかない場合に使う言葉です。

「匙を投げる」同様に、
これ以上打つ手がなくあきらめるしかないことを表しています。

・「匙を投げる」の類義語「断念する」

「断念する」は、
物事を途中でやめることを意味する言葉です。

「匙を投げる」同様に、
これ以上続けても見込みがないと感じたときに、
続けたいと思う気持ちや、
うまくいくかもしれないという希望を、
きっぱり断つことを表しています。

・「匙を投げる」の類義語「白旗を上げる」

「白旗を上げる」は、
「あきらめる」を表す慣用句の中でも、
よく使われるもののひとつで、
「白旗を掲げる」と表記されることもあります。

こちらは、戦争や紛争、
武力衝突などをイメージするとよいでしょう。

たとえば、
攻撃を加えている相手の陣地に白旗が掲げられたとします。

この場合、白旗の表す意味は、
相手の降参(降伏)や無抵抗の意思です。

つまり、
戦って局面を打開することをあきらめたと考えることができます。

もちろん、
「白旗を上げる」は、
戦争のみならずさまざまなシーンでも用いられる表現です。

・「匙を投げる」の類似表現「賽を投げる」「箸を投げる」

「賽を投げる」の意味

「賽を投げる」という言葉の意味は、
サイコロを振ることです。

したがって「匙を投げる」とは、
関係のない意味の言葉となります。

「箸を投げる」の意味

「箸を投げる」は、
漢字そのままの意味を表す言葉です。
「匙を投げる」のように、
別の意味を持つ慣用句やことわざではありません。

「匙を投げる」の対義語も見ていきましょう。

慣用句「匙を投げる」
そのものの対義語とされる言葉は、
辞書などに見当たりませんが、
どんなことがあってもあきらめない気持ちや、
様子を表す言葉がいくつかあります。

「匙を投げる」の反対の意味を持つ四字熟語を紹介します。

・「七転八起」は「匙を投げる」の反対の意味

「七転八起」(ななころびやおき・しちてんはっき)。

7回転んで8回起きるという言葉には、
何度失敗したとしても、
くじけることなく立ち上がる様子が表されています。

「匙を投げる」が途中であきらめてしまう意味を持つのに対して、
「七転八倒」は何がなんでもあきらめないという
不屈の意味を持つ言葉となっています。

・「百折不撓」も「匙を投げる」の反対の意味

「百折不撓」(ひゃくせつふとう)は、
日常においては耳にする機会がほとんどありませんが、
何回失敗しても気持ちを変えないことを表しています。

したがって「百折不撓」は、
「匙を投げる」の反対の意味を持った言葉と言えます。

匙を投げるということわざの使い方の例文は?

「匙を投げる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

・このような限られた予算と時間で、
何とかプロジェクトを推進してくれと言われても、
いくらエース集団とて匙を投げざるをえまい。

・周囲の人間からの協力がなかなか得られないからといって、
途中で匙を投げてしまうなんて君らしくもないよ。

・仕事半ばで匙を投げてしまったことが、
あれから10年以上経った今でも悔やまれて仕方がない。

いずれの例文でも、
志半ばで、
物事を断念せざるを得なかった様子が思い浮かんできますね。

あとがき

今回は、
「匙を投げる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

この慣用句で用いられている「匙」は、
食器のスプーンではなく薬匙を示す言葉でした。

最近は、見かけなくなった薬匙、
若い方に「匙を投げる」という言葉を使って
通じるのかなと思いました。

というのも、
先日電話越しで、
「お電話をお借りしてもよろしいでしょうか?」
と伝えたところ、
相手の若い青年は、
「お電話をどうしたら貸す事ができますか?」と言われました。

「お電話をお借りしても…」
が伝わらなくなったんだなと思ったのと、

ことわざや慣用句も
これからは、伝わらなくなるのかも知れませんね。

ですが、
ことわざや慣用句の意味を知れば、
思いもよらぬ発見に驚く事もあるので、
積極的に使っていきたいと思います。