私の祖母と母親が関西出身で、
おでんの事を「関東煮」と言っていました。
そして、白ネギの事を「関東ネギ」と言っていました。
何故、関東煮なのでしょうか?
気になりますね、
おでんと関東炊きの名前の違いやその由来、
また、
呼び方が切り替わる境界線はどこなのでしょうか?
おでんと関東煮について調べてみました。
おでんと関東炊きの違いは何?
ぐつぐつと湯気を出しながら煮込まれたおでん、
だし汁がしみた大根やがんも、卵など、
どれもおいしくてたまりませんよね。
この料理『おでん』のことを、
関西では、「関東煮(かんとだき)」とも呼ばれています。
実は中身も、ちょっと違っています。
・「関東煮(かんとだき)」って?
どんな味付け?
関西の「関東煮」と関東の「おでん」。
最も大きな違いは、味付け。
濃い目にしっかりと味を染み込ませる「おでん」に対し、
「関東煮」は、
関西の定番である薄口しょうゆを使った甘めの味付けなのです。
しょっぱい味付けの「おでん」は、
関西人にとっては本来なじみがない味なんですよね。
具材は?
具材も、関東の「おでん」とは異なるものが入っています。
その代表ともいえるのが、「クジラ」が入ることです。
「スジ」や「さえずり」と呼ばれる部位など、
少し前までは家庭で普通に入っていたんです。
ほかに欠かせないのは「牛スジ」。
関西風の甘めの味付けにマッチする具材ですよね。
一方、
関西で具材に使われないのが「はんぺん」や「ちくわぶ」。
「ちくわぶ」ってなんのことか知らない、
という関西人は多いかも知れませんね。
おでんと関東炊きの名前の由来は何?
まず、おでんの名前の由来は?ですが…
ひらがな3文字の『おでん』って、
ちょっと不思議な言葉ですよね。
「おでんは大根が一番好き」
「おでんの卵は外せないな」
「寒くなるとコンビニおでんにハマっちゃって」
『おでん』というくくりの中に、
人それぞれがイメージする味や具材があります。
おでんを漢字で書くと『御田(おでん)』。
『御田』の「田」の字は『田楽(でんがく)』を表しています。
『田楽』は、古くから日本各地で食べられてきた料理のひとつで、
串にさしたお豆腐やこんにゃくなどに味噌をつけて焼いたものです。
『田楽』は『田楽焼き』とか『味噌田楽』とも呼ばれています。
おでんという言葉の由来が『田楽』にあるなんて、
ちょっと意外な気がしますね。
おでんの名前の意味とは?
おでんの名前の由来となった『田楽』は、
平安時代の風習「田楽舞い」からきていると言われています。
当時、農村では、
米や作物の豊作を祈って、
「田楽舞い」と呼ばれる踊りを踊る風習がありました。
踊りの演者は白い袴をはき、
一本の長い棒の上に乗って飛び跳ねるように舞うのですが
この白い衣装と小道具の棒が、
四角く切った豆腐に竹串が刺さった様子に似ていることから、
『田楽』と呼ばれるようになったと考えられています。
平安時代の『田楽』の味付けは塩でしたが、
室町時代の頃から味噌をつけて焼く『味噌田楽』となり
素材も豆腐やこんにゃくだけではなく、
野菜を素材にしたものや川魚を使ったものなど、
バリエーションが増えてきました。
江戸時代になると、『田楽』は焼くのではなく、
こんにゃくなどをお湯や昆布だしの中で煮込み、
甘味噌をつけて食べる『煮込み田楽』となりました。
一本ずつ焼いてゆくのは作業効率が悪い上、
大量に作るなら、
大鍋にお湯を沸かして串を打った具材を入れて茹でるほうが楽ですよね。
この煮込み田楽が、
今のおでんの始まりとも言われています。
このあたりから、
具材を焼いて甘味噌をつけるものを『田楽』、
具材を煮たものは親しみと敬意をこめて『御田(おでん)』と、
区別して呼ばれるようになりました。
『御田』の「御」の字は接頭語の「お」。
「お昼」とか「お話」、「おからだ」や「お坊さん」など、
言葉を丁寧にする時のアタマにつける「お」です。
『御田』の「田」の字は『田楽』の略を意味しています。
江戸時代の後期になると、
おでんは味噌を使って煮込まれていました。
わたしたちに馴染みのあるしょうゆ味のだし汁で煮込むおでんは、
野田や銚子など関東近郊で醤油づくりが盛んになった江戸末期からです。
「焼く『田楽』」が「茹でる『おでん』」となり、
「味をつけた醤油味の煮汁で直接煮るおでん」に変化していったわけです。
煮込むだけで簡単に作れるおでんは、
具材(おでんだね)も増えて、汁気も味わうようになり、
関西にも広まっていきました。
おでんを関西で関東煮というのはなぜ?
関西では「おでん」を『関東煮(かんとだき)』といいます。
なぜ「おでん」のことを、
関西では『関東煮』と呼ぶようになったのでしょう?
その理由は諸説ありますが、
一番有力なのは、おでんは東京で誕生したので、
関西に伝わったときに「関東から伝わった煮物」という意味で、
『関東煮』と呼ばれるようになったという説です。
「かんとうに」ではなくて「かんとだき」、
早口の大阪人は関東を「かんと」というんですね。
煮物のことを「たきあわせ」といいますが、
関西では「煮る」ことを「炊く(たく)」といいます。
それで『関東煮』と書いて「かんとだき」。
「煮」を「だき」と呼ぶのは関東人としてはちょっと慣れないですが、
Wikipedia によれば「関東炊き」という別表記もあるようです。
関西にはもともと、
「焼く『田楽』」と「茹でる『おでん』」があったので、
関東から伝わった醤油ベースで煮る「おでん」を、
『関東煮(かんとだき)』と呼んで区別をしたとも言われています。
おでんと関東炊きの切り替わる境界線はどこ?
一説によれば、
天下分け目の大戦と呼ばれる、関が原が境目になっているとか…。
ですが、
はっきりとした境界線は存在せず、
関東でも関西おでんを、
関西でも関東おでんを食べることが出来ます。
全国のコンビニなどで『おでん』が人気になったので、
『かんとだき』と呼ばれることも少なくなったようです。
入っている具材も、関西のものも関東のものも入っているようで、
目新しく変わり種のいろいろ出てきているので、
全国的に『おでん』という認識の方が多くなっています。
あとがき
おでんという言葉の由来は『田楽』にあります。
おでんを漢字で書くと『御田(おでん)』。
『御田』の「御」は言葉を丁寧にするときの接頭語、
「田」は田楽の略を意味しています。
関西では『おでん』を『関東煮(かんとだき)』といい、
「関東から伝わった煮物」という意味なんですね。
そこで『おでん』が『関東煮』と呼ばれるようになった、
と考えられています。
関東の『おでん』と関西の『関東煮』の最も大きな違いは味付けですが、
それぞれ独自の具材も入っています。
最近は、
具材に下ごしらえしたトマトなどの変わり種もあります。
いつの時代も手軽に食べられる料理として人気の、
『おでん』&『関東煮』、
具材やだし汁の違いに注目して食べるのも楽しいですね。