二兎を追う者は一兎をも得ずって本当の意味は?言葉の由来や類語の四文字熟語は?

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「二兎(にと)を追う者は一兎(いっと)をも得ず」は、
中国の故事や、
他の、何かに由来しているものではなく、
これ実は古代ギリシャ起源で、
欧州に広く分布することわざと言われています。

そして、日本には明治に入ってきて、
修身の教科書で広まったと言われています。

今回は、二兎を追う者は一兎をも得ずって本当の意味、
言葉の由来や類語の四文字熟語を紹介したいと思います。

二兎を追う者は一兎をも得ずって本当の意味は?

「二兎を追うものは一兎をも得ず」は、
「にとをおうものはいっとをもえず」と読むことわざ。

「兎」と言う漢字は「うさぎ」と読み、
「二兎」とは「二匹のうさぎ」を意味します。

「二兎を追うものは一兎をも得ず」とは、
二匹のうさぎを捕まえようと追いかけると、
一匹すら捕まえることすらできない、

つまり
「欲張って同時に2つのことをしようとすると、
どちらも得られず失敗する」の意味を持つ言葉です。

二兎を追うと、どちらか一兎を逃し、
一兎しか捕まえられないという事ではなく、
二兎とも逃がしてしまうという意味です。

二兎を追う者は一兎をも得ずって言葉の由来は?

「二兎を追う者は一兎をも得ず」というのは、
ローマのことわざという説があります。

しかし、
古代ローマに伝わることわざという説は古すぎて、
正確な起源をたどることはできません。

そしてもう一つの説は、
ネーデルラント出身のキリスト教哲学者である
デジデリウス・エラスムスの格言が
元になっているという説です。

デジデリウス・エラスムスは1466年10月27日に、
オランダの南ホラント州ロッテルダムで生まれました。

幼いころから修道院に入り、
聖書の研究に没頭し、
人文主義者としての名声を得ました。

人文主義者だけでなく、
カトリック司祭、神学者、哲学者としても活躍し
様々な格言を残しました。

その中の一つに
「二兎を追う者は一兎をも得ず」があり、
同時に複数を狙うと結局何も得られないという
意味だと伝わっています。

・古代ローマに語源があるという説
・デジデリウス・エラスムスの格言が元になっている

という2つが、
このことわざの由来になっている説として有力です。

■二兎を追う者は一兎をも得ずの英語表記

野兎は“hares“です。

ここの兎は、“rabbit”ではないのです。

・hares  ノウサギ、(紙まき遊び の)ウサギ役
・rabbit アナウサギ、ウサギの毛皮、ウサギの肉、
      (長距離競技で)ラビット、下手な人

と言う違いがあります。

・He that hunts two hares loses both.

・If you run after two hares, you will catch neither.

このどちらかになります。

二兎を追う者は一兎をも得ずって言葉の類語や四文字熟語は?

二兎追う者は一兎も得ず、
このことわざと同じ意味で使われている言葉と
四文字熟語をいくつかみてみましょう。

★虻蜂取らず

「虻蜂取らず」の「虻蜂」は読み方が難しいですが、
「虻(あぶ)」と「蜂(はち)」で「アブハチ」となります。

ことわざ全体の読み方は「アブハチトラズ」です。

「虻蜂取らず」は、
二つの虫「虻」と「蜂」が登場しますが、
この二つの虫を同時に退治しようとしても、
一つどころかどちらも捕まえることができない、
という意味があります。

つまり
「欲張って二つのもの得ようとしても、
どちらも得られず失敗に終わること」を指す言葉なのです。

「虻蜂取らず」の語源と由来は正式にありませんが、
人々の行動から学んだ教えの一つだとされています。

虻も蜂も両方とも退治しようする人が、
どちらかの一つはおろか、
両方とも取り逃がしてしまう、
ということから来ているとされ、

欲を出せば結局のところ何も捕まえられない、
得られないということの教えとして
広く使われるようになりました。

★花も折らず実も取らず

花も折れず、実も取れないということから、
欲張って両方取ろうとしても、
結局どちらとも得られないということです。

★一も取らず二も取らず

「いちもとらずにもとらず」と読みます。

二つのものを同時に得ようとして、
結局どちらも手に入らなくなることのたとえです。

欲張って両方失うという状況をあらわしています。

■二兎を追う者一兎も得ずの類義語、四文字熟語は?

“一挙両失”です。

いっきょりょうしつと読みます。

意味は、
何かひとつの行為によって、
それとともに二つのことで損失を生じることで、
それを表わした四字熟語です。

■二兎を追う者は一兎は一兎を得ずの対義語

★一石二鳥

一つのことをして、二つ以上の利益を得ることのたとえです。

一つの石を投げて二羽の鳥を落とすということから転じ、
一気に二つ以上のものを得るという意味になりました。

★一挙両得

一つの事をすることによって二つの利益を収めるという意味です。

一挙というのはひとつの動作をあらわしているので、
一つの動作で複数の利益を得るという状況をあらわしています。

■二兎を追う者は一兎も得ずを使った例文

★彼は一人に決められないからと、
こっそり二股をかけて交際していた。

しかし、それがばれて二人ともに振られてしまう結果となった。

二兎を追うものは一兎をも得ずとは、まさにこのことだ。

★二兎を追う者は一兎をも得ずのように、
本業と副業を両立させようとしたら、
どちらも疎かになってしまった。

★せっかく手にした地位だが、
欲張ると二兎追うものは一兎も得ずというので、
今は目の前にあることだけに集中しよう。

あとがき

「二兎を追う者は一兎をも得ず」は、
二羽の兎を取ろうとして失敗する様子から、
欲張ってたくさんのものを得ようとしたばかりに失敗し、
何も得られなかったという状況をあらわしています。

これは欲をかくとロクなことにならないという
教訓の意味合いがあります。

戦略があって2兎を狙う場合は良いのですが、
どっちつかずでふらふらしている場合は、
どちらか一つに絞った方がよさそうですね。