インターネットが普及し、
海外の言葉だけでなく、
ある言葉を元にして新たに作られる造語なども増えてきている毎日…
新しい言葉が増えてきている一方で、
以前からあった言葉の中でも、
会話の中で何となくの無意識で使っている言葉ってありませんか?
今回は、そんな中から『胡散臭い』という言葉に注目しました。
『胡散(うさん)』ってそもそもなに?!
『臭い』といってもどんなにおいなの?!など、
順を追って紹介していきたいと思います。
胡散臭いという言葉の意味や語源はなに?
まずは、『胡散臭いの』言葉の意味はというと…
意味:どことなく怪しい。
なんとなく疑わしい。
油断ができない。
確証はもてないけれど、
その事柄について何かおかしい…
違和感を感じるといった場面が想像できますね。
一方、語源のほうはというと、
まずは『胡散(うさん)』について注目したいと思います。
ひとつの説は、
漢語の『胡乱(うろん)』という言葉が転じて今に至ったというものです。
胡乱は、
『いいかげんで不確実な』や『乱雑な』といった意味をもっています。
『胡』自体に疑う様、怪しむ様が含まれているため、
『胡散臭い』に使われているのもうなずけますね。
ここでいう『胡』とは、
モンゴル高原で勇猛を誇った遊牧騎馬民族の、
『匈奴(きょうど)』のことを示し、
『胡』が中国を攻撃した際に住民が慌てふためいたという故事から、
この『胡乱』という言葉が生まれたのだそうです。
その後、室町時代に禅宗を通して日本に入ってきました。
ただ胡散が使われ始めたのが江戸時代の中期といわれていて、
『乱(らん)』から『散(さん)』に変化する過程は、
文字も読みも異なっていてよくわかっていません。
もう一つの説は、
ポルトガル語『Vsanna(ウサンナ)=怪しい』を語源にしているという説です。
ポルトガルは戦国期から江戸時代まで、
日本との交易が盛んだった国の一つではあります。
ポルトガル語を語源に、いまも日本で使われている言葉といえば、
雨具である『合羽(かっぱ)』や、
食べ物では、『金平糖(こんぺいとう)』、
『天ぷら』などが知られています。
ただ、
こちらの説も伝わったとされる時期と使われ始めた時期に、
間があることが気になります。
最後の説は、
茶碗の一種である天目茶碗の「烏盞(うさん)」から転じたという説です。
この茶碗はとても高価な代物だったのですが、
反面、生産地や生産された年代がはっきりとせず疑わしい、
本物かどうか怪しいという意として使われるようになったようです。
見た目だけ似たようなものを作って、
詐欺まがいの行為で一儲け、なんてことが横行したのかもしれませんね。
なんだか字が異なるだけで、
読みもその意味合いも同じように感じます。
語源としてはもっとも有力なのではないでしょうか…
ちなみに、
『臭い』のほうですがこれは『におい』のことではなく、
「~らしい」「~ぽい」という言葉と同じような意味の、
接尾語のことなのでお間違いのないように。
そんなわけで、『胡散』と『臭い』を合わせると、
その言葉の意味が合致しますね。
胡散臭いという言葉を言い換える類語はなに?
『怪しい』
『疑わしい』
『得体の知れない』
『正体不明』
『つかみどころがない』
などといったところでしょうか。
確証はないけれど不快な雰囲気が醸し出されている様子が共通していますね。
胡散臭いという言葉の使い方の例文は?
いくつか『胡散臭い』を使った例文をご紹介しましょう。
・あの人の話はいつも根拠が乏しくて胡散臭い
自身たっぷりで何かと世話を焼いてくれる同僚。
でもちょっと話の内容に触れて質問すると、
なんとも的を得ない返答ばかり…
こんな人が身近にいたら信用できずに困ってしまいますね。
・この運動がダイエットに効果があるなんてどうも胡散臭い
この運動をわずか数分するだけで驚きのダイエット効果が!
なんて言葉につられて試すも、いっこうに効果を感じられない。
頻繁に宣伝していたとしても実感できなければ信じがたいですよね。
・胡散臭いと感じさせないようしっかりと説明したい
理路整然と物事を整理した上で説明すれば、
その誠意はおのずと相手に伝わるものですよね。
信用を得るためにも相手に不信感をもたれてはいけません。
あとがき
いかがだったでしょうか?
言葉はその時代の背景により、
その意味やニュアンスも変化していくものとはいえ、
その元になる言葉の意味を知ることで、
より幅のある使い方に変わっていくのではないでしょうか。