春一番が吹くと、
本格的な春なんだなと思います。
長い冬から解放されて、
暖かな季節になると思うと、ホッとします。
ですが、春一番の事をよく知られていません。
調べてみなければいけませんね。
春一番とはいつ吹くどんな風?
2017年、春一番は2月後半に吹きました。
2018年は、
日本海側はバレンタインデーに、
東海・四国は2月末、
近畿・関東・九州南部は3月に入ってからでした。
2019年は、2月4日立春に気温が上がり、
北陸で最速の春一番を観測しています。
そして、3月21日春分の日に、
中国地方で、ぎりぎり最遅?の春一番が吹きました。
春一番は、2月に吹く風なんですね。
「春一番」は、初めて春型の気圧配置になって吹く南風です。
春型の気圧配置って、あまり耳にしませんが、
天気予報では3月になると、
「移動性の高気圧と低気圧が、交互に日本にやって来ます」
という表現がよく使われますね。
この高気圧と低気圧が交互にやってきて、
晴れたりくもったり雨になったりをくりかえすのが春の気圧配置、
春の天気の特徴です。
春が近づくと、
西高東低の冬の気圧配置が崩れて、日本海に低気圧が発生。
その低気圧に向かって、
太平洋側にある温暖な太平洋高気圧から暖かい風が吹き込みます。
この最初の南からの暖かい風が、春一番です。
ここで、春一番が吹いたら注意!ですが…
・翌日は寒くなり、冬型の気圧配置に逆戻りします。
暖かくして下さいね。
・スギ花粉が大量に飛びます。
家にいるときはぴったりと窓を閉め切りましょう。
・これ以降、強い風がよく吹きます。
風で転倒したり、ドアに手をはさまれたり、
春は風の事故が多い季節でもあります。
*東京消防庁によると、
風の事故の半分は2月~4月に発生するとのことです。
春一番と気象庁が発表する定義は?
気象庁と各地の条件ですが…
関東地方の条件は気象庁が、
ほかの地方は各地の気象台が独自に定義しています。
春一番の条件
★関東:気象庁による条件
関東地方の春一番は、気象庁が定義しています。
・立春から春分までの間
・日本海に低気圧がある
・東京で最大風速8.0m/s以上
・西南西から東南東の風
・前日より気温が高い
関東は、これらが、条件とされています。
★北陸
・立春から春分の間
・日本海に低気圧がある
・金沢・富山・福井のいずれかの気象台で最大風速10m以上、
その他の気象台で6m以上の風が吹く
・南寄りの風
・最高気温が前日より高いかほぼ同じ
新潟地方気象台が北陸を統括。
条件は富山地方気象台から引用しました。
★東海
名古屋・岐阜・津・静岡のいずれかの気象台で
・立春から春分の間
・日本海に低気圧がある
・最大風速8m以上
・南寄りの風
名古屋地方気象台
★近畿(大阪)
・立春から春分の間
・低気圧が日本海にある
・最大風速8m/s以上
・南寄りの風
・最高気温が平年、または前日より高い
大阪管区気象台
★四国(高松)
・立春から春分までの間に
・低気圧が日本海付近で発達
・南寄りの風が
・最大風速おおむね10m以上で吹き
・最高気温が前日より上がる
高松地方気象台
★中国
・立春から春分までの間
・日本海で低気圧が発達
・中国地方くらいの広い範囲で
・(やや)強い風
・南よりの暖かい風
・気温が高くなる
・山陽側で強い風が吹かない時でも春一番とすることがある。
*最大風速について目安はあるようですが公にされていません。
広島地方気象台
★九州北部・山口
・立春から春分までの間
・日本海に低気圧
・最大風速7m以上
・南寄りの風
・前日より気温が上昇
統括は福岡管区気象台です。
条件は熊本地方気象台から引用しました。
★九州南部・奄美
・立春から春分の間
・最大風速8m以上
・南寄りの風(東南東から西南西)
・九州南部が低気圧の暖域に入る
鹿児島地方気象台
観測しない地域ですが…
★沖縄
~日本海側に低気圧が発生しても、
警戒が必要なほど強い風が吹かない
★山梨
~甲府(気象台がある所)は、盆地で強い風にならないため
★長野・東北・北海道
~春一番のような暖かい強い風が吹いても、
まだまだ冬の気候が続くため
各地で観測の違いがあるんですね、
観測しない地域があるのは驚きです。
春一番という語源の由来と発祥の地は?
気象庁が春一番を発表するのはなぜ?
春一番は気象庁が発表します。
気象庁のウェブサイトによると、
春一番のことを、
『立春から春分までの間に、広い範囲(地方予報区くらい)で初めて吹く、
暖かく(やや)強い南よりの風』
と定義しています。
これは先ほどもお伝えしましたね。
気象庁が春一番を発表する理由は、春の到来を告げる意味もありますが、
突然の強風ということで、
天候上の重要な指標になっているということが一番の理由かと思われます。
春一番がこの時季に吹く原因そのものは、
『温帯低気圧』が日本海で発達するようになるからです。
この温帯低気圧が日本海で発達してくると、
太平洋側の『高気圧』から日本海の低気圧に向かって、
南から暖かい風が強く吹き込みやすくなります。
この温帯低気圧に向かって、
南からの暖かい風が強く吹き込む南風が春一番となるんですね。
冬の間は大陸の強い高気圧に押され、
その高気圧の周囲を周るように低気圧が進むので、
発達した低気圧の暖気は太平洋側に追いやられるため、
日本付近には入ってきません。
ですが、
春になると上空の寒気を伴って、
日本海で猛烈に発達する低気圧が現れるようになります。
その低気圧に向かって暖気が強く入って、
春一番となるのです。
前述のように、
春一番は落雷や竜巻などを伴ったり、船を転覆させたりする強風です。
春一番によって、多くの被害が出た過去もありますので、
台風情報と併せて重要な情報となります。
積雪が多い地域などでは、暖かい風によって雪が解け、
雪崩の原因になることも多いため警戒が必要になります。
そのため、雪山登山に関しても、
注意が必要な時期となります。
また、春一番の吹いた日は気温が上昇して、
次の日は強い冬型の気圧配置に戻り寒さが戻ることが多いので、
寒暖の差が激しくなりがちです。
わたしたちの健康の面でも、
体調管理に注意が必要となる目安が春一番となりますね。
春一番の名前の由来は?
春一番は、
元は漁師や船乗りが使っていた言葉が、
気象用語として使われるようになったという説があります。
石川県能登地方や、三重県志摩地方、
長崎県の壱岐地方の漁師のあいだでは、
この春先特有の強風のことを、
『春一』や『春一番』と呼んでいました。
1859年(安政6年)の3月17日、
長崎県五島沖に出ていた漁船が、この時期特有の春の強風に煽られ転覆し、
漁師53名が亡くなりました。
それ以来、長崎県の壱岐地方では、
この時期の春に初めて吹く強い風を、
『春一』・『春一番』と呼ぶようになったといわれています。
1959年、
ある民族研究家が1859年の長崎の事故を書物で紹介し、
その後1963年には初めて新聞にも取り上げられ、
全国的に『春一番』という名称が広まったと言われています。
あとがき
春一番とは…
『立春(2月4日頃)から春分(3月21日頃)までに、
日本海で低気圧が発達し、
その年に初めて毎秒8メートル以上の南よりの風が吹き、
前日に比べて気温が上がる』
という現象のこと。
春一番が観測されるには、さまざまな条件があるため、
観測されない地域や年があります。
春一番という名前の由来は、
江戸時代末期の長崎県で起きた事故が元になったという説が一般的です。
春一番が吹くと、
春本番を思わせるような暖かさになることが多いですが、
その後には前線通過による冷たい北風が流れ込み、
一気に寒さが戻ることが多くなります。
春一番のあとは寒暖の変化が激しくなるので、
しっかり体調管理に注意して、身体に気をつけてくださいね。