ゲリラ豪雨が予測できないのは何故?起きる仕組みと増加する原因は?

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近年日本では、
豪雨による土砂災害や浸水災害が多く発生しています。

特に、通称「ゲリラ豪雨」が問題となっています。

なぜゲリラ豪雨が発生するのか? 

そして、
なぜゲリラ豪雨の発生が予測が難しいのか? 

ゲリラ豪雨の発生する仕組みや、
増加する原因についてまとめてみました。

ゲリラ豪雨が予測できないのは何故?

「ゲリラ豪雨」という言葉は正式な気象用語ではなく、
気象庁では「局地的大雨」と呼びます。
(今回の記事ではゲリラ豪雨と表記)。

なぜ、「局地的大雨」が、
「ゲリラ豪雨」と呼ばれるようになったのか?

それは、
ゲリラ豪雨の発生回数が増えて、
人的・物的被害をもたらすようになり、
民間の気象予報事業者であるウェザーニューズ社や、
マスコミなどが頻繁に使うようになったからとされています。

現状では、
ゲリラ豪雨の発生地点に関しても、
予測精度の限界があります。

気象庁が実施している複数の数値予測モデルのうち、
最も精度が細かいのが「局地モデル」です。

日本周辺を対象としており、
その領域を1辺が2kmのメッシュ状に分割して、
コンピューター・シミュレーションが行われています。

しかし大気が不安定な状況では、
積乱雲は一定の区域内のどこに発生してもおかしくないのです。

そのため、2km四方という分解能では、
「この辺りで積乱雲が発生しやすい」
までが限界となっているのです。

そして局地モデルのシミュレーション実行回数は1時間ごと。

数値予測モデルのうちで、
1日の予測実行回数が最も多く、
10時間先までの予報を出すのに用いられています。

しかし、
ゲリラ豪雨を発生させる単体の積乱雲は、
急速に発達して豪雨を降らし、
1時間ほどで姿を消してしまいます。

そのため、時間的にとらえきれない可能性もあるのです。

ゲリラ豪雨とは、
このように現代技術を持ってしても予測が難しい難敵なのです。

ゲリラ豪雨が起きる仕組みは何?

豪雨の原因は積乱雲です。

中でも水平方向に巨大化した積乱雲のことを、
スーパーセルと呼びます。

ゲリラ豪雨発生の原因のひとつに、
スーパーセルの存在が指摘されています。

・スーパーセルとは?

夏は気温が高く日差しも強いことから、
晴れた日が続くと、
地表近くの空気が急激に暖められます。

暖かく湿った空気は、
上昇して冷たい空気と混じり合い、
積乱雲が発生します。

1つの積乱雲はシングルセルと呼ばれ、
巨大化した積乱雲はスーパーセルと呼ばれます。

ちなみに、セルとは英語で細胞という意味です。

シングルセルの水平方向の広がりは、
10数キロメートル程度ですが、
スーパーセルの場合はさらに広がり、
数10キロメートル以上にも及びます。

シングルセルが複数集まって、
大きな積乱雲(マルチセル)になることはありますが、
スーパーセルとなるためにはいくつかの条件が必要です。

大気が不安定な状態で、
積乱雲が鉛直(垂直)方向に組織化される際、
風が吹いて上昇気流と下降気流がうまく分離されると、
雲の勢いが衰えることなく発達を続け、
スーパーセルになるといわれています。

・スーパーセルのスーパーとは?

スーパーセルが積乱雲の集まりと大きく異なる点は、
巨大な積乱雲の中に、
上昇気流と下降気流が1つずつしかないということです。

そのため、
スーパーセルの内部では強い上昇気流が発生することで、
渦が発生しています。

積乱雲自体が回転することから、
竜巻を引き起こすこともあります。

また、スーパーセルは寿命が長いことも特徴です。

普通の積乱雲が数10分で消失するのに対し、
スーパーセルは数時間もの寿命を持ちます。

スーパーという名称の通り、
スーパーセルは非常に強力な積乱雲なのです。

また、
空気中の水蒸気が多い夏は、
もともと積乱雲が発達しやすい季節です。

夕立という言葉の通り、
昔から夏の夕方に突然雨が降ることは珍しくありませんでした。

しかし、
スーパーセルのような巨大な積乱雲ができるためには、
非常に強い上昇気流の発生が必要です。

これにはヒートアイランド現象が関連しているといわれています。

気象庁によると、
ヒートアイランド現象とは、
都市の気温が周囲よりも高くなる現象をさします。

都市部では、
地面がアスファルトやコンクリートで覆われることによって、
熱が蓄積されやすく、
さらに他にも多くの熱が排出されていることから、
強力な上昇気流が発生していると考えられているのです。

ゲリラ豪雨が増加する原因は?

ゲリラ豪雨の恐ろしさを実感するきっかけとなったのは、
2008年の7月に発生した兵庫県神戸市の都賀川の水害でした。

都賀川は、
川べりに遊歩道のある、ありふれた市街地の小川です。

ところが、上流に大雨が降ったため、
水位が10分間で1.3mも急上昇し、
川で遊んでいた子どもたちなど5人が、
流されて亡くなってしまったのです。

たった10分で、
あっという間に子どもの身長近くまで、
水位が上がってしまうのですから、
急な大雨がいかに恐ろしいかがよくわかります。

ほかにも、
大雨が急に降ると下水道の気圧が高まって、
マンホールのふたがあき、
冠水した道路を歩いていた歩行者が落下したり、

地下街に水が流れ込んだり、

アンダーパスと呼ばれる、
道路が潜り込む形で交差する場所にたまった水に、
車がはまり込んで出られなくなったりと、
急な大雨による災害は後を絶ちません。

それにしても、
こんな事例を目の当たりにすると、
『どうも雨の降り方が昔より激しいんじゃないか?』
と思う人も多いのではないかと思います。

なぜ、大雨が増えているのでしょうか。

その理由は、
気候変動やヒートアイランド現象など、
複数の原因が重なって、
日本の気温が上昇傾向にあることと関係があります。

そもそも、雨というのは、
空気中に含まれる水が落下したものです。

空気中の水蒸気が上空で冷やされて、
水や氷の粒になったものが雲で、
雲の粒が大きくなって落下すると雨になります。

雲の粒が氷の場合は、落下する途中で溶けると雨に、
溶けない場合は雪になります。

ここで、気温が高くなると、
空気中に含むことのできる水蒸気の量が増えます。

ですから、
以前よりも気温が高くなれば、
ひとつの雲からより大量の雨を降らすことが可能になるのです。

これが、
年々大雨がひどくなっている理由だと考えられています。

ところで、
「ゲリラ豪雨」はなぜ「ゲリラ」なのでしょうか。

せめて、
『明日の午後3時ごろに○○市で50mmの非常に激しい雨が降ります』
と予報してくれれば、
その時刻に出掛ける予定を変更して、
雨を避けることができるのに…と思う人も多いはずです。

実は、
気象現象の規模と予報のしにくさには相関関係があります。

規模の大きい現象はゆっくりやってきて、
その場所に長期間滞在します。

一方、規模の小さい現象は急に発生して、
あっという間に去っていく傾向にあるのです。

あとがき

ゲリラ豪雨対策としてまず行いたいことは、
天気予報のチェックです。

ゲリラ豪雨の予測は難しいといわれていますが、
気象庁の「高解像度降水ナウキャスト」では、
30分先の雨雲の動きが予測できるようになりました。

スマホでもチェックできるため、
外出中に移動先の雨雲の動きや、
降水量の予測情報を確認することが可能です。

ゲリラ豪雨をチェツクしながら、
最悪な事態を避ける様にしなければいけませんね。