お札の絵柄が変わります!
紙幣の絵柄、デザインを変えることを刷新と言います。
紙幣は、偽造を防ぐなどの理由から、
ほぼ20年ごとに全面刷新されています。
政府は、2024年上半期を目処に、
一万円、五千円、千円の紙幣を刷新すると発表しました。
新一万円札の図柄には、
「日本の資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一の肖像と、
東京駅の丸の内駅舎を採用。
新五千円札は、
津田塾大学の創始者で、
女性の高等教育に生涯を捧げた津田梅子と藤(フジ)を採用。
新千円札は、
ペスト菌を発見して「伝染病研究所」を創立した北里柴三郎と、
葛飾北斎の描いた「富嶽三十六景」から「神奈川沖浪裏」を図柄化します。
日本の新しいお札に施される、紙幣の偽造防止技術について、
その原理とともにお伝えします。
新しいお札に入れられる透かしはどのように作られているのか?
「透かし」とは、紙面を光にすかして見ると、
画像が浮かび上がる技術のことです。
紙の薄い部分は明るく、厚い部分は暗く見えます。
薄い部分だけで模様を作っているものを「白透かし」、
薄い部分と厚い部分を組み合わせて模様を作っているものを、
「黒透かし」と言います。
「黒透かし」は、目の細かい金網に凸凹をつけて簀の代わりに使い、
紙を漉きます。
そうすると、金網の凹んだ部分では、紙が厚くなり、
出っ張った部分では、紙が薄くなります。
このために、模様が自由に表現出来ます。
紙幣の中央の丸い部分を光にすかすと、
肖像画が現れます。
今の紙幣にも使われている技術です。
新紙幣では、肖像の「すかし」だけではなく、
周りの余白部分に細かい模様を加えて、
より偽造しにくくしています。
さらに、従来よりも精度の高い図柄を描きます。
新しく発行されるお札を作る技術は?
新しいお札を作るのに使われている技術は、
「ホログラム」「潜像模様」「パールインキ」などの新技術です。
ホログラムとは、3D写真のことです。
普通の写真では、光の強弱や明るさを記録するだけですが、
ホログラムでは、
その光が何処から来るのか「光の方向」を記録することが出来ます。
これによって、3次元の画像が角度を変えると回転して見えたり、
右や左から覗いても正面の顔が追いかけてくるように見えるなど、
偽造防止を強化しています。
新一万円札と五千円札には、
ストライプタイプのホログラムが、
千円札には、パッチタイプのホログラムが付加されます。
財務省が、
「肖像の3D画像が回転する最先端ホログラムで、紙幣への採用は世界初」と、
説明しています。
また、偽造防止対策として現行の透かしに加え、
さらに高精細なすかしの模様を導入します。
パールインキとは、
斜めにすると見える半透明の模様です。
今までのお札にも使われていたマイクロ文字は、
さらに小さくなり、
他の模様と組み合わされたりします。
潜像模様とは、
お札を傾けたときに、「NIPPON 」や、
千円など額面の金額が浮かび上がる技術です。
また、新しく発行されるお札では、お札の種類の識別性を向上させるために、
指の感触で識別できるマークの形状変更と、お札の種類ごとの配置変更、
額面数字の大型化や、ホログラムと透かしの位置を、
お札の種類ごとに変更するなどの技術を予定しています。
その上、お札の番号は、現行の最大9桁を10桁に変更します。
新しく発行されるお札の透かしの原理とは?
透かしとは、紙を透かした時に見える文様のことです。
当てた光によって、紙の上により明るく現れる、
区別することのできる画像や模様を透かし模様と言います。
厚い紙と薄い紙を光にかざすと、
厚い紙の方が黒く(暗く)見えます。
透かしは、この原理を応用しています。
高度な製紙技術を用いて、
紙をすく段階で紙の厚さを調節して図柄を表現しています。
日本のお札には、
「黒透かし」と呼ばれる特徴な透かしが使われています。
これは、透かしの部分を厚く漉き上げる手法で、
濃淡のグラデーションを表現することが出来ます。
また、周囲の紙の厚さより薄い部分は、
白く透けるので「白透かし」と呼ばれています。
日本のお札は、
この2つを組み合わせた精巧な「白黒透かし」が用いられています。
さらにお札は、一般用紙とは異なる特殊な用紙が使われています。
そのために、独特の原料を用いて、
定められた位置に精巧な透かしが正確に入っています。
あとがき
新しいお札には、
最新の高度な技術がたくさん詰まっています。
どのようなお札が出来るのか、
視覚でも、感触でも、楽しみです。
万札のことを聖徳太子とか諭吉さんなんて言ってたけど、
もうすぐ渋沢さんっていうようになるのかな?