『トラウマ』って 何語?
カタカナ語うまく使えていますか?
インターネットによって、
世界の情報をより簡単に取得できるようになった現代。
日本語だけでは表現しきれない言葉が以前に比べ、
加速度的に増えている昨今。
トラウマのようなカタカナ言葉ってなんとなく流していたけど、
ほんとうの意味や使い方で不安に思うことありませんか?
今回は、そんな言葉の中から『トラウマ』についてご紹介してきます。
トラウマとはどういう意味ですか?
トラウマとは、精神医学の学術用語として、
『心的外傷』などという意味で訳されることが多いようです。
オーストリア出身の精神分析学者のジークムント・フロイトが、
自身の著書『精神分析入門』にて、
『肉体的な外傷が後遺症として残るのと同じことが精神でも起きる』
という見解を発表します。
その際に、精神的な外傷を意味する言葉として用いられたのが、
「トラウマ(trauma)」でした。
以降、トラウマという言葉は、
『心的外傷』という意味で広く用いられるようになりました。
外傷による後遺症は、
その状態を外形上の経過などにより治療することができます。
一方で心の中に傷を負ってしまった後については、
その状態を第三者が把握することはなかなか難しいことですよね。
言葉で意味づけされることで、
当時わかりずらかった精神世界で苦しんでいる人たちへ、
大きな一歩となったのではないかと想像します。
具体的な例としては、
災害、暴力、深刻な性被害、重度事故、戦闘、虐待などの体験が挙げられます。
そのような出来事に、
自信だけでなく他人が巻き込まれるのを目撃することや、
家族や親しい者が巻き込まれたのを知ることもトラウマ体験となります。
トラウマとは何語でその語源はどこから来ているのか?
サイトによっては、
『虎馬』などと漢字で表現しているものもあるようですが、
ひょっとしてもともと日本語なのでしょうか?
実は、その語源はギリシャ語の「トラウマ」(τρᾶυμα)。
それは単に『傷』を意味するものでした。
つまり、
今使われているような心の傷というような意味合いは、
含まれていなかったわけです。
日本で現在定着しているのは、
その後のドイツ語に転用された『trauma』なわけですが、
ここでももともとは単に『傷』という意味で使われています。
つまり、
ギリシャ語の『傷』⇒ドイツ語の『傷』
⇒オーストリア出身のフロイトによる医学用語としての『トラウマ』
という流れで日本で使われるようになったと考えられています。
トラウマという言葉を使う時はどういう時で正しい使い方は?
心的外傷という医学的な観点での意味合いでは、
『自らまたは、他人の死の危険などを体験し、
同等の恐怖や無力感、絶望感を感じた後のストレス障害』を指します。
つまり、
生死をわけるような大きな体験が、
その引き金になっていることになります。
そう考えると『トラウマ』という言葉が、
こちらの意味で使われるシーンではかなりの深刻さを想像させますよね。
それとは別に、
生死にかかわるまでは行かなくとも、
日常的な場面で精神的な軽度のストレスを体感した場合などにおいても、
『トラウマ』と表現する場合もあります。
「昨日見た映画のあのシーンは怖くてトラウマものだわ!」のように、
死ぬほどではないものの、
精神的な軽いストレスというレベルで使われることもあります。
『トラウマ』という言葉に関連の深いものといえば、
『PTSD(心的外傷後ストレス障害、Post Traumatic Stress Disorder)』
というものがあります。
意味合いとして同じものと捉えられがちですが、
『トラウマ』⇒『PTSD』というような関係となります。
要因となるのがトラウマで、
その後の経過においても、
その影響を受け続ける状態をPTSDということですね。
原因となっている、
不快で苦痛な記憶が何かをきっかけに突然蘇ってきたり、
悪夢として反復されます。
また思い出したときに気持ちが動揺したり、
身体生理的反応(動悸や発汗)を伴います。
日常の生活にも支障がある状態ともなれば、
医療的なケアが必要となってくるでしょう。
あとがき
いかがだったでしょうか?
外国から入ってきたものに限らず、
日本に以前からある言葉においても、
本来の意味あいや使い方の部分で差異が生まれているものもあります。
現在においては、
逆転して誤ったとされる意味合いのほうが、
多く使われることのあるものも少なくありません。
こうして考えると言葉というものは、
その時代や世相に少なからず影響され、
新しく生まれて⇒育まれて⇒さらに変化していくものなのかもしれませんね。