うま味成分の「グルタミン酸」は、
たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の一つです。
グルタミン酸は、
私たちの体の中でも作られています。
また、うま味調味料のグルタミン酸も、
食材に含まれるグルタミン酸も全く同じ物質で、
私たちの体で区別されることなく、同じように活用されます。
グルタミン酸は、美味しいだけではなく、
脳を活性化させる効果や、血圧を下げる効果、
ストレス減少作用、胃の調子を整える働き、
脂肪の蓄積を抑制する働きなどの様々な効果が認められています。
グルタミン酸たっぷりの昆布は危険?
グルタミン酸は、脳にも多く含まれています。
主に神経細胞のエネルギー源となるアミノ酸です。
脳機能を活性化したり、
酵素の働きによってアンモニアをグルタミンに変え、
体にとって有害なアンモニアを除去し、
尿の排泄を促進したりする作用があります。
また、グルタミン酸を摂取することで、
脳の働きが活発になり、
集中力や記憶力が向上するほか、
疲れや気分の落ち込みを改善する効果もあると言われ、
さらに、細胞の柔軟性を維持して、
認知症や統合失調症の予防にも効果が見られます。
それでは、グルタミン酸を多く含む昆布は危険なのでしょうか。
グルタミン酸には、
摂取量は定められておりません。
グルタミン酸は、
通常の食生活をしていれば過剰摂取になることはありません。
しかし、特定のアミノ酸を大量に摂取することで、
アミノ酸のバランスが崩れると、
頭痛やのぼせで、
倦怠感や胸やけなどが起こります。
また、興奮性の神経物質ということもあり、
多く摂取し過ぎると、
神経が過剰に興奮するてんかん発作の原因にも、
なるのではないかと考えられています。
サプリメント等でも摂取したりする場合は、
過剰摂取にならないように気をつけましょう。
また、昆布には「ヨウ素」も多く含まれています。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料です。
毎日多くの昆布を食べ続け、過剰に摂取すると、
甲状腺ホルモンが作られなくなり、
甲状腺機能低下症になることがあると言われています。
昆布を毎日摂取することで、
ヨウ素過剰になることも懸念されるのです。
さらに、昆布には「食物繊維」もたくさん含まれているため、
食べ過ぎると腸の働きが活発になりすぎて、
下痢や腹痛を引き起こす原因にもなります。
ただ、昆布は食物繊維が豊富で消化が悪い食べ物なので、
もともと胃腸が悪い人は、便秘になる可能性もあります。
胃腸の調子が悪く、腸の蠕動運動が弱っていると、
食物繊維が水分を吸収してしまい、
便が固くなることもあるのです。
昆布をたくさん食べる時は、
水分摂取にも心がけると便秘を防ぐことができます。
昆布のグルタミン酸含有量はどれくらい?
グルタミン酸は、ほとんど全ての食材に含まれていますが、
昆布にはより多くのグルタミン酸が含まれています。
実は、昆布に含まれるグルタミン酸の含有量は、
種類と産地によって変わってきます。
羅臼昆布>真昆布>利尻昆布>日高昆布>長昆布の順になります。
グルタミン酸(mg/100g)では、
羅臼昆布(2290~3380)>真昆布(1610~3200)
>利尻昆布(1490~1980)>日高昆布(1260~1340)
>長昆布(240~1400)です。
グルタミン酸たっぷりの昆布についている白い粉の成分は?
乾燥した昆布の表面に、
白い粉がついている場合があります。
白カビとも勘違いされやすいですが、
この粉は「マンニット(マンニトール)」という糖類で、
甘味成分の一つです。
昆布から出しを取る場合、
グルタミン酸に並んで美味しさの決め手になる成分です。
マンニットは、もともと昆布に含まれている成分です。
昆布の中から水分が出てくるのと同時にマンニットも出てきます。
環境の変化で、
昆布の中から外へ水分の出入りが繰り返し起こると、
マンニットも出てきやすくなります。
マンニットはそのままの状態で一緒に料理に使うと良いです。
汚れや白カビと間違えて下処理で取り除いてしまうと、
せっかくの甘味成分を失ってしまいます。
マンニット以外の昆布表面の汚れが気になる時は、
固く絞った布巾で、軽く拭き取ると良いです。
昆布のだし汁から発見された、
うま味成分として知られているグルタミン酸。
脳が活性化され、
記憶力や集中力のアップに効果的であったり、
グルタミン酸が胃に入ると消化吸収がスムーズになったり、
肥満の抑制や体脂肪蓄積を抑える効果も期待できます。
また、
グルタミン酸はリラックス効果のあるGABA(ギャバ)を生成するために、
ストレスから身を守る働きもあります。
あとがき
昆布に含まれるグルタミン酸の効果は多様です。
うま味成分は、グルタミン酸以外にも、
鰹節や魚介類に多く含まれるイノシン酸や、
干しシイタケや乾燥キノコに含まれるグアニル酸などもあります。
これらを組み合わせることで、
相乗効果でさらに美味しさが増します。
毎日の食事で上手にグルタミン酸を摂取して、
健康で快適な生活を送りましょう。